仮想化1

1.仮想化とは何か

プロセッサやメモリ、ディスク、通信回線等、コンピュータシステムを構成する資源(リソース)を物理的構成に拠らず、柔軟に分割したり統合したりすること。仮想化は次の4つに分けられる。
・サーバ仮想化
・デスクトップ仮想化
・ネットワーク仮想化
・ストレージ仮想化

 

2.サーバ仮想化

 1台の物理サーバを論理的に分割し、複数台のサーバがあるように見せかけて利用する技術。物理的サーバの高性能化によってできた余剰リソースを利用して、複数台のサーバを運用していると同様の運用ができるようになる。これによって、メインの物理サーバでは対応できないアプリケーションの運用や、テスト等にも利用することが可能となる。また、論理的に構成されたサーバなので、バックアップを利用して物理的故障に対しての保全も簡単に行うことができる。

 ・サーバ仮想化(Type-Ⅰ)
  VMWare Sphere
  Microsoft Hyper-V
  Xen

 Type-Ⅰ型はサーバに直接インストールし、ハードウェア上で直接仮想環境を動作するのが特徴。ホストOSを介さずに直接仮想環境からハードウェアを制御することが可能なため、ハードウェアの能力を有効に利用することができる。

 

3.デスクトップ仮想化

 サーバにおかれたPC環境をPC利用者が使用する端末に反映させて利用する技術。ネットワークに接続する環境があれば、認証を受けた利用者は、いつでも、どこでも、どのPCからでもアプリケーションやデータを利用することが可能となる。運用サイドからの視点としては、アプリケーションやデータがサーバ側にあるために、利用者や利用状況の管理が容易になるとともに、データが利用者のPCに残らないので、データ流出を未然に防ぐセキュアな環境であるといえる。

 ・デスクトップ仮想化(Type-Ⅱ)
  VMWare WorkStation,Player,Fusion
  Microsoft Hyper-V
  Virtual Box

 Type-Ⅱ型はハードウェアを制御しているOS上のアプリケーションとして動作する。ハードウェアを制御するOSをホスト、ハイパーバイザ上で稼働するOSをゲストと呼ぶこともある。既に稼働しているハードウェアとOSにインストールすることが可能なので、手軽に導入できる反面、ゲストOSからのハードウェア制御には、ホストOSの経由がが必要なため、余分な負荷がかかり、ハードウェアの持つ本来の性能を十分に利用できない場合がある。

 

4.ネットワーク仮想化

 一般的にはSDN(Software-Defined-Network)のことを指している場合が多いが、正確な定義づけがされているわけではない。物理的に構成されているネットワークを分割して利用したり、複数のネットワークを統合することによって、仮想的なネットワークを構成する技術。従来の有線ネットワークや無線ネットワークのように物理的な作業をすることなく、ソフトウェアをネットワーク的に管理できるようにする技術。

 

5.ストレージ仮想化

 既存の複数のストレージをソフトウェア的に統合し、あたかも巨大な1つのストレージに見せかけ、データを保存する技術。複数のシステムで別個に利用されているそれぞれのストレージでは、容量の足りないものと、容量の余ってしまうものがでてくる。容量の足りなくなったストレージに対して、新たに物理的にストレージを追加するのではなく、ソフトウェア的に足りないストレージと余っているストレージを統合して、巨大なストレージを仮想的に作ることによって、効率的にストレージを利用することができる。

 

 6.仮想化とクラウド

 クラウドサービスとは、利用者が手元の端末からネットワーク経由でデータやアプリケーションを利用するサービスの総称。ユーザが自由にリソースを変更可能であり、ニーズにマッチした仮想化環境が利用できる。

 ・SaaS(SoftWare as a Service)
 ネットワーク経由でソフトウェアの機能を提供するサービス
 ・PaaS(Platform as a Service)
 ネットワーク経由で仮想化されたアプリケーション実行用のプラットフォームを提供するサービス
 ・IaaS(Infrastructure as a Service)
 ネットワーク経由で仮想化されたハードウェアやインフラストラクチャを提供するサービス